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地域活動も私たちも楽しいのが〇(マル)。元民生委員がお揃い衣装でハンドベル隊

犬塚校区の「たんぽぽの会」は、ハンドベルの演奏を校区内外のいろんな場で披露しています。元・民生委員児童委員で結成された団体です。活動を見に行くと、手作りの衣装とベレー帽のメンバーがそこにいました―

たんぽぽの会のメンバーの皆さん

子育てサロンで演奏を披露

 6月12日、この日は三潴校区コミュニティセンターでのリハーサル中でした。ハンドベルを披露する相手は子育てサロン「きしゃポッポ」の子どもたちと保護者です。
 音符ではなくドレミで記載された譜面は、キーボード担当の永田香代子さんの手作りです。「あれ?」「そのベル、なんか音が違うよ!」。たまらず永田さんが「ちょっとストップ、ストップ!みんな大丈夫?」「大丈夫じゃないよ」「笑」とメンバーは終始なごやか。

永田さんは元・保育士で、今でも子どもたちに関わることがライフワーク。同会ではマイキーボードを持参 して、曲の主旋律を奏でます。「曲は私が決めること が多いかな。洋楽が好きなので『アメイジンググレイ ス』なんかも演奏したりね」。手先も器用で、カエル のお面も全員分を急きょ手作りしてきました

 子どもたちが喜んでくれるようにと、この日は童謡5曲を用意しました。「カエルの歌」では、被っていたベレー帽を手作りのカエルのお面に付け替える演出。ところが、次曲の「きらきら星」でベレー帽にかぶり直すのに多くのメンバーが苦戦していました。「これ、大変よ。カエルの歌を最後にしようよ」と一人が言うと、「じゃ、そうしようか。曲順変更!」と他のメンバーが応じます。

リハーサルの一こま。欠席した人の分まで二つのベルを持つ人も。

 リハを終えて本番までの間、話題は新メンバーの歓迎会のことに。「どこのうなぎ屋にする?」「昼と夜どっちがいいかな」。リラックスムードの皆さんに、緊張しないかと尋ねると「もう緊張はしないね~」。

自然と手拍子や歌声が

 いよいよ本番です。この日は5組の親子がサロンに参加していました。おもちゃで遊んでいた子どもたちも、同会が入場してくると皆、くぎ付けに。保護者からは「手づくりの服らしいよ」「へ~、かわいい」などの声が聞こえてきます。

 さっきの言葉とは違い、少し緊張気味なメンバー。ベルの音色が珍しいのか、小さな子どもたちもじっと聞き入っています。曲が進むにつれて、手拍子と歌声が自然と起こり、大人も楽しそう。「森のくまさん」では児童委員が画用紙を切り抜いたクマと女の子を曲に合わせて動かします。締めは例の「カエルの歌」です。お面をつけたメンバーと一緒に参加者も輪唱。会場に温かい一体感が生まれたところで演奏会は終了しました。

きしゃポッポは、主任児童委員を中心に民生委員や子育て支援ボランティアが運営。『森のくまさん』で登場した小道具の演出は紙芝居のように歌詞と合っ ていて子どもたちも興味深々でした
一番盛り上がったのは、最後の「カエルの歌」。参加者全員で半分ずつに分かれて輪唱します。筆者も参加しました。何十年ぶりかの輪唱はとても楽し く、メンバーの皆さんとの距離がぐっと縮まった気がしました
新加入のメンバーは司会を担当

民生委員退任式の日に発足

 演奏を終えた皆さんに話を聞きました。「現在11人で活動していて、レパートリーは30曲ほどあります」と永田さんは話します。「高齢者施設では『ふるさと』みたいな懐かしい曲を演奏すると、歌を口ずさんでくれてうれしいんです。中には認知症を発症した人も。コロナ禍で訪問を中断して、今年からサロン訪問は再開したけど、高齢者施設はまだ行ってないね」。
 同会はおしゃべりと笑い声が絶えず、メンバーの仲が良さが伝わります。会長の村上喜嗣さんは会の誕生を語ってくれました。「民生委員・児童委員の退任式の後、みんなで食事に行ったんです。そこで、このまま離れ離れになるのはなんだかもったいないから、何かしたいねーって。それが結成のきっかけ。過去に歓送迎会の出し物で、校区からハンドベルを借りて演奏したことがあってね。それで、ハンドベルをすることに。会の名前もその日に決めたんですよ。平成29年のことね」と話します。

村上会長。演奏時の衣装の多くは手作り。スモッグも蝶ネクタイもひまわりのワッペン も、ニットのベレー帽まで

 練習は月1回、約1時間。「もちろんティータイムも含めてね。みんなで集まることが楽しい。誰かが家に閉じこもりがちになっている時とか『ちょっと出てこんね~』って声かけたりしてね」。活動が自分たち自身の介護予防や見守りなどの役割も兼ねていると永田さん。

演奏会終了後、控室でメンバーの皆さんにインタビュー。質問に優しく答えてくれました

地域活動、悪くないかも

 「地域活動」と聞くと「負担」という言葉を連想する人も多いと思います。しかし、同会の皆さんは、まず自分たちが無理なく楽しむ。そして、その活動が地域のためにもなる。そういう気負わなさを感じます。活動の中で、誰かに元気をあげると同時に、皆さんも元気をもらっている。それが活動を続けられる秘訣なのかもしれません。
 同会を見ていると「地域活動のハードルは思っているより低いのかな。何より、こんなに素敵な関係性ができるなら、地域活動、悪くないかも」という気持ちになりました。
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 最後に、今後の活動について尋ねると、「一年一年を大切にすることかなぁ。私たちもいつどうなるか分からないし」と答えたメンバーに「あらー、いいこと言うねえ」の合いの手と笑い声。最初から最後まで、笑顔溢れる「たんぽぽ」のような皆さんでした。
(担当・ねにひつじ)

地域の子どもたちのために催したハンドベルの時間。でも、元気をもらったのは子どもたちだけじゃない気がしています。一緒に来た保護者、サロンのお世話をしているボランティアの皆さん、演奏をしているたんぽぽの会の皆さん。会場にいる大人の顔もほころんでいました。
取材が無ければ市役所で眉間にしわを寄せて書類と向き合っていたであろう私も。

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