中央公園にできたCAFE&STUDIO【KURUMERU】。ヒト・コト出会う「交差点」に
中央公園と調和したおしゃれなカフェがオープンしました。新しい価値や動きと出会える、ヒトやコトの交差点に。関わる人達の声は、街の未来への期待があふれていました。
中央公園がぐっと魅力的に
久留米中央公園は、長く市民の憩いの場として親しまれています。鳥類センターや市民流水プールと隣り合い、週末は大噴水「愛の泉」の周りの芝生広場に多くの人が集います。ここに木材を生かした外観の施設がオープンしました。「Cafe&Studio KURUMERU(クルメル)」です。
フードメニューは、田主丸のフレンチレストラン「Spoon」の井上勝紀シェフ監修のパニーニや、人気の「九州パンケーキ」など魅力的。ソフトドリンクだけでなく、アルコール類も楽しめます。店内で食べてもよし、広場に持ち出してピクニック気分を楽しむもよし。貸し出し遊具で子どもを遊ばせながらゆっくりと過ごすのもあり。
芝生広場に面した窓は全開放でき、イベントなどで、カフェスペースと広場を一体的に使えます。少人数貸切制のトレーニングルームには、ルームランナーやダンベルなどを備えています。
人の暮らしに変化を
建設は、市と「中央公園<グッドサイクルプロジェクト>共同体」が共同で進めました。芝生広場に約300平米の施設を新築。運営は、共同体代表で「スポガ」を経営する高橋株式会社が担います。「久留米を楽しむ」を動詞にして「くるめ・る」と名付けました。多くのヒトやコトが混ざり包み込み合う場に、という思いを込めています。
館長の中野辰文さんは「人の暮らしに良い変化が生まれてほしい」と話します。背景には、スポガ店長時代の経験がありました。「私の提案で、お客様の人生が変わった出来事があったんです」。とある小学校を卒業する児童の保護者が記念行事をやりたいと相談。中野さんは「ボウリング大会だけじゃなく、第二の卒業式をやっては」と、児童から先生へのビデオメッセージなどを提案しました。当日、ビデオを見た先生は号泣。当時、ある児童とその保護者との関係で悩み、教師をやめようと考えていた矢先でした。ところが、その子が「先生、あの時言えなかったけどごめん」とビデオで打ち明けたのです。先生は退職を踏みとどまりました。 「僕たちの仕事で人生が変わることがある。一歩踏み込んで本気で企画する大切さを学びました」と振り返ります。
中野さんは開館後、さっそくうれしい場面に遭遇。「スワッグ作り教室で初めて会った人達が、一緒にカフェでご飯を食べて、2人で帰っていったんです。人生が変わるとまではいかなくても、新しい趣味や知り合いができる。それも暮らしの大きな変化です」。
共感と循環を生む場
中野さんは「市内で活動する人や団体と、できる限りコラボしたい」と考えています。取材当日も、個展を準備中の大学生から制作の場としてカフェを使えないかという相談がありました。それならいっそ、制作過程をお客さんに楽しんでもらおうと、公開ライブペイントというイベントに仕立てました。
地域で活動する団体との連携は既に始まっています。その一つが、筑後地域を中心に孤立した子育てをなくすために活動する「お母さん業界新聞福岡(ちっご)支局」です。支局長の池田彩さんは「高橋株式会社さんは、ずっと前から私たちの活動を知ってくれていました。『この場所から久留米を良くしていけたら』という同社の思いに触れ、それなら同じエリアに拠点を置く私たちもぜひ関わりたいと思いました」と話します。
高橋さんの「孤立した子育てをなくす取り組みを真正面からやりましょう」という言葉で、それならばと、長年大切に続けている 『折々おしゃべり会』をここで開催することにしたのだそうです。池田さんは「ここを中心に良い動きがまちを循環するようになれば」と願っています。
「中央公園はふらっと来られる。だから良いんです」。子育ては1人の人間を育てる大事業。だから、悩みはつきものと言う池田さん。「いろんな子育てがあっていい。なので、いろんなお母さんの話を聞くだけで気持ちが楽になるし、自分の話をすることが他のお母さんの役に立ちます。『折々おしゃべり会』がお母さんたちの出会いの場になり、子育てを楽しむきっかけになっています。そして共感した人が新聞を持ち帰り、地域で新聞を配ってつながりをつくる。興味を持った人がここに来てくれる。そんな循環ができれば、安心して子育てができる久留米市になります。KURUMERUがそんな場所になってほしい。高橋さんとの20年計画です」。
今、公園に来ていない人にも
今後、夜の催しも密かに「たくらむ」中野さん。「中央公園はもっとたくさんの人を受け止められると思うんです。例えば、一夜限りのキャンプ場が広場に現れ、焚火をしながらお酒を飲んで語り合う。カフェは営業時間を延長してライブが行われる。そんな場だったら、今は公園に興味がない人たちが来てくれるかもしれませんよね。そうやって、新しい誰かや何かと出会える場になっていけばいいな」。
(担当・フトシ)