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(担当者コラム)常連客の代わりに市役所を奔走。隣近所の支え合いは生きてる

古くからの客のために市役所へ

久留米市役所は、昼休みも当番職員を決めて窓口を開けています。僕が当番だった日の12時50分。50歳前後の夫婦が窓口に。
「少し話を聞いて欲しいのですが」

夫婦は居酒屋経営。古くからの客である高齢夫婦についての相談でした。
「おじいちゃんは数年前に病気をして半身が不自由なのですが、先日、おばあちゃんも脳梗塞で入院することになって」
「今日は、おばあちゃんの健康保険関係の手続きに代理で来たんです。おばあちゃんはとにかく今後が心配で、病院で聞いたらパニック気味に泣いてばかりだそうです」

確かに。脳梗塞ならば後遺症が残る可能性はある。おじいちゃんの介護はどうしていくのだろう。家もエレベーターの無いアパートの4階だそうだ。そもそも、これからの生活をどうしていけば良いのか。心配になるのも無理はない。
僕はそう感じました。

「こうやって健康保険の手続きとかくらいならしてあげられます。今は店も休業しているし」。でも、そうばかりもいかない。
「結局は他人。病院に行っても身内として面会できるわけでもないし、お店が始まれば自分たちの生活もまた追われ始めます。でも、あの夫婦がどうなっていくのかは心配で。市役所の制度でなんとかできるものがないかと思って来たんです」

それならと、長寿支援課に確認すると、包括支援センターが力になれるかもしれないと言う。そこで、6階にある長寿支援課に案内しました。

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夫婦が訪ねてきた窓口で、僕の職場でもある久留米市役所の地域福祉課。民生委員・児童委員に関すること、避難に支援が必要な人への対応、社会福祉法人の監査に関すること、など、幅広い業務を担っています

「次のところで何とかなりそう!」と笑顔の夫婦

昼当番を終えた僕は、ランチを何にしようかと、ぼーっと考えながら1階に降りました。そこで先程の夫婦とばったり。夫婦は僕の顔を見るなり「あ!」。気づけば僕も、同じタイミングで「どうでしたか!」と言っていました。

この日一番嬉しかったのが、この瞬間でした。2人が僕に結果を伝えようとしてくれたと感じたから。
「さっき包括支援センターのことを詳しく教えてもらったので、何とかなりそうです!」と、嬉しそうにパンフレットをめくる夫婦。
「今から商店街にある包括支援センターに行ってみるんです。これでおばあちゃんが助かると思うなあ」。

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日中多くの人が出入りする市役所本庁舎の東側玄関。ここで夫婦
と再び顔を合わせた瞬間が忘れられません(写真はイメージ)

どんだけ良い人たちなんだ。

代理で市役所に手続きに来て、その後に相談で窓口を二つ回った。さらに、これから別の施設に行くという。それでも、常連客のために動いて、頼り先が見つかったと喜んで包括支援センターに向かっている。行きがかり上とはいえ、他人のことにここまで親身になってくれる人がいるなんて。

僕は心から「そのおばあちゃんは、お二人のような人がいてくれて本当に心強いと思います。今日はご相談に来てくださってありがとうございます」と言い、夫婦は「いえいえ、ありがとうございました」と笑顔で帰っていった。

こういう気持ちを、もっともっといろんな場所でたくさんの人と感じたい。そう思った火曜日の昼でした。
(担当・フトシ)


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