とあるWEBライターが自身の障害と向き合う。”ありのままの姿”を社会と共有する意味
陽光が差し込むおしゃれなオフィスに立つ女性。今回の主人公は、このnoteを舞台の一つとして活動しているライターさんです。
サムネール画像で後ろ姿での登場には訳があります。抱えてきた生きづらさと向き合い、文章で表現する彼女の思いに迫ると、同じような状況の人だけでなく、社会にとっても大切なものがありました。
文章以外「壊滅的」と診断
とあるnote記事【障がいのある私。顔出しするか迷う】には、精神障害のあるライターが取材を受けるにあたっての葛藤が描かれています。書いたのはWEBライター・ピアスさん。障害者の就労継続支援A型事業所
「TANOSHIKA CREATIVE」でWEBメディア「AKARI」と、noteで執筆しています。
ピアスさんがグッチョの取材で「顔出し」を迷った要因は精神障害。発達障害と双極性障害があることでした。障害=悪いこと、ではないから顔を隠したくないという思いと、家族や将来への影響が怖いという二つの気持ちの間で揺れていました。
ピアスさんは中学時代に不登校になり、高校で症状が悪化、一時は引きこもり状態になりました。2018年に同社に入り、デザイン部門に配属。2020年に現在のライター部門に異動しました。ライターの道を選ぶきっかけになったのは、心理検査でした。本人の記事【「文章を書く」夢を追いかける発達障害の私】に次のような一節があります。
「苦しみ抱えた人へ」に変化
劣等感の塊だったピアスさんを救ったのが執筆活動でした。「私にとって文章はとても大切なもの。書くことで障害と向き合い、一つ一つ荷物を下ろす感覚でした」。程よい距離感で人との関係が持てたことも大きかったそう。「温かいコメントで応援してくれる人がいたり、当事者から助言がきたり。心がつながっている感覚でした」。
執筆を通して自分と向き合うにつれ、記事の方向性が徐々に変わっていきました。自分に向いていた記事のベクトルは、やがて人のためという目的に自然に向き始めました。
ピアスさんは、日々の出来事に加え、自身の症状の変化やその時の気持ち、対処法などを書き続けています。コメント欄には同じような障害や生きづらさを抱える人から、共感や感謝の言葉が寄せられています。
精神障害のありのままに触れる
記事の中でピアスさんは、時に「赤裸々に」内面を吐露します。日常や葛藤を包み隠さず書いた文章から、精神障害の特性や抱えきれない感情・衝動など、特有の生きづらさを垣間見ることができます。
記事【障がい者である私の贅沢】では、グループホームで暮らす彼女の「幸せ」に対する考えを書いています。そこで、障害年金受給への葛藤が垣間見えます。
自分自身を見つめ、物事を整理し、あまり表に出ない「人の内面」を社会と共有。ピアスさんの執筆活動は、同じような状況の人だけでなく、精神障害のことを知らない人にとっても大切な機会になっています。
取材時、顔出しするかを悩むピアスさんに 「無理だけはしないで」と伝えました。しかし今は、「悩む必要はないと思います」と伝えたいと思っています。彼女の書く文章には、顔出し以上のリアリティで、ありのままのピアスさんがいるから。(担当・フトシ)