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(生活保護担当者がレポート)子供たちのひと夏のチャレンジ。真のワクワク体験とは?

この記事を書いたのは、生活保護を担当する生活支援課で子どもたちの生活や学習を支援する事業の担当者。執筆体制も課の枠を超えちゃいました。
担当事業を利用する子どもたちが、夏休みに挑んだチャレンジに関わり、感じたことをつづりました。

地域福祉マガジン【グッチョ】とは?

子どもの学習・生活支援の場の現場から

祭り、海水浴、キャンプ ―― 始まった時のワクワク感と、減らない宿題の山。誰しもが振り返る夏休みの思い出です。令和3年は令和2年に続いて、水の祭典も花火大会も中止になりました。それでも、「今しかできない体験」が一つでいいからあってほしい。性別も年齢も、生活環境も関係なく、誰でも。

私の所属は生活支援課です。生活保護を担当し、いろんな事情を抱えた家庭と向き合っています。子どもたちの学習や生活を支えるのも仕事の一つです。久留米市はその業務を、NPO法人わたしと僕の夢(以下、わた僕)に委託しています。私はその担当でもあるので、現場に時々顔を出しています。そこに来ている子どもたちと先生たちの「ひと夏のチャレンジ」を振り返ります。

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わた僕に通うのは中学生で、週2日、2時間勉強し、食事をします。令和3年は巣立った高校生もよく顔を出して、一緒に勉強したり、高校のことを教えたりしています。

そんなわた僕で6月頃、夏休みの思い出に何かしようという話し合いがありました。その結果、「糸島の自然公園『フォレストアドベンチャー』に行く」と「そのための資金を稼ぐための物販会をする」という計画がまとまりました。

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「わたしと僕の夢」の子どもたちの夏休みに向けた作戦会議。感染対策をしつつ2回開催しました。司会者や書記など役割分担をして会議

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作戦会議は白熱。ホワイトボードには「ハウステンボス」「グリーンランド」などの文字が

子どもたちの中には、いろんな経験ができない子もいます。ワクワク体験も成長には大切な要素。「何とか、子どもたちにそんなチャンスを」と、 私は同僚に物販会への応援を呼びかけました。

それぞれの得意を生かし合う

8月下旬、市役所の一角で物販会は開かれました。代表して中学3年の子たちが売り子に。計算が得意な子はレジ係をし、抜群のセンスを持つ子は商品をディスプレイ。いつも笑顔の元気な子が真っ先にお客さんを出迎えました。

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市役所本庁舎の地下1階の片隅で開かれた物販会は多くの客でにぎわいました。事前注文も受け、お金と引き換えに袋詰めした商品を渡しました

得意を生かす―――。

準備段階からそうでした。事前の話し合いで活躍したのは、コミュニケーションが上手なAさん。みんなの意見をうまく聞き「物販でお金を稼ごう」という発想を引き出したことで、目標額まで決まりました。

イラストが得意なBさんは、「仕入れた物をそのまま売ってもおもしろくない」と、パッケージに貼るキャラクターシールを制作。手先が器用な子は、できたシールを商品にきれいに貼り、コツコツと最後まで仕事をやり遂げるCさんを中心に袋詰めしました。

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物販会では、商品を通じてお客さんとのおしゃべりも生まれていました。「ありがとうございます!」と、とびっきりの笑顔を送る子どもたちの表情が印象的でした。

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10月上旬。子どもたちの笑顔はフォレストアドベンチャーにありました。とびきりの笑顔で思い出をつくった夏休み。でも本当のワクワク体験は、物販会というチャレンジにあったのかもしれません。

「得意」を持ち寄ることで、初挑戦を成功に導きました。一生懸命考えた時間と経験を共有し、そこで生まれた「プラスの気持ち」をお客さんとも共有。たくさんの【グッチョ】にあふれた夏休みの出来事でした。
(担当・ミリアム)

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フォレストアドベンチャーにて。怖いけど、そろりそろりと。全身で自然とアスレチックを体験

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芥屋の大門近くの「トトロの森」にも寄り道。“映えスポット”を楽しみました