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創刊1周年のご褒美は、【グッチョ】を調べた小学生4人の研究発表

 ある日、地域福祉課の電話が鳴りました。電話の相手は北野小学校の先生。「子どもたちがグッチョについて調べていて」。苦節1年。こんなにうれしい日が来るとは。

依頼は突然「話を聞きたい」

「秋山さんはたくさんのグッチョを書いている」「できるだけたくさんのことを調べたかった」―――。
 グッチョ創刊から1年、延閲覧数は3万を超えました。そんな中、うれしい出来事がありました。

 6月下旬、北野小学校で4年生の担任を務める岡美紀先生から電話がありました。聞けば、授業で身体障害をテーマに、4~5人の班で調べて発表する予定で、ある班にグッチョの14話「ゴジラの敵役を務めたスーツアクターがローカルヒーローに。きっかけは息子の聴覚障害⁉」を見せたら興味を持ち、話を聞きたいと言っているのだそう。

グッチョを調べてくれた班のメンバー。

 当然、二つ返事で承諾。Zoom越しに、私がグッチョへの思いや記事の狙いを話しました。さらに障害者福祉課の職員も同席し、久留米市が行う身体障害者への支援や担当課の思いを伝えました。
 ここで終わらないのがグッチョ。子どもたちがどのようにまとめていくのか、気になって仕方がない。「みんなを取材に行ってもいいかな?」と聞くと、子どもたちから「やったー」と歓声が。学校の許可も下りて、成果発表会のリハーサルにお邪魔することになりました。

障害のある暮らしを感じた学習

 取材当日、教室では発表で使うスライドや模造紙の準備が進んでいました。具体的に何を調べたのか、作業中の子どもたちに話を聞くと、単純に障害のことを調べるのではなく、「仕事」「スポーツ」「移動手段」「道具」「生活環境」など、暮らしや身の回りのことを深堀りしていました。

共有した発表用のスライドをそれぞれの端末から編集。デジタル機器を使いこなしています

 「手足が動かなくてもできる仕事がたくさんある。働きたいと思っている」「スポーツでも車いすを使う競技もあれば、義手や義足でやるものもある」「音の大きさを表す(デシベル)を調べた。聴覚障害は聞こえるか、聞こえないかだけでないことを知ったから」。他の班も、手話をダンスに乗せて伝えようとしたり、点字を覚えやすくするのにクイズ形式にしたり。私の質問に自分なりの言葉で説明する子どもたち。【障害のある日常や暮らし】を実感できているようでした。

移動手段である自動車の事を調べた班は、「未来の車」を考案。声だけで走らせることができる車があれば「体が思い通り動かなくても運転できて助かると思いました」
障害者スポーツを調べた班。義手よりも義足の開発にスポットが当たりやすいことを指摘しました
手話をダンスに取り入れた動画を見ながら振り付けを練習する班。手話に触れるきっかけになりそう
点字を覚えるため、模造紙で資料を手作り。 母音と子音の組み合わせの法則も書いています
車いすの暮らしを調べた班は、困る場面を調べ、それに対してどうすれば解決できるか考えました

特別なことでも他人事でもない

 表紙の4人はグッチョを深掘りしてくれた班のメンバーです。取材する私を質問責め。「最初に書いた記事は」「なぜこの記事を書こうと思ったんですか」「グッチョを出す目的は何ですか」と、なかなか鋭い。君たちは記者か。
 私の答えを受けて発表用スライドを修正。「グッチョとは」「グッチョの思い」など、全6枚のスライドにまとめました。冒頭のコメントは「秋山さんのインタビュー」というスライドのものです。

こんなにグッチョに真剣に向き合う子どもたちの姿が何よりのご褒美でした

 最後に「グッチョには、これからどんな人を取り上げるのですか」と聞かれ、「どんな人でもいいと思う。障害があっても、暮らしが苦しくても、認知症になっても、みんなこの久留米で暮らす人。その中で(何かをし合う物語)を書いて(いいな)とか(大切だな)と感じてもらえればうれしいよ」と答えました。
 困り事や生きづらさの原因は障害や病気にではなく環境や配慮に。だから他人事ではありません。まとめのスライドに「障害を特別なことと思わない」という言葉。「ああ、きっと伝わってるなぁ」と、またにんまりする私でした。 (担当・フトシ)

どの班のまとめも素晴らしかった。感動した!

紙面版PDFもあります

久留米市公式ホームページで、紙面PDF版を公開しています。紙媒体が読みやすい人はこちらからどうぞ!

グッチョの表紙です