地域福祉マガジン【グッチョ】@久留米市地域福祉課
市役所の事業や動き、行政サービスの中にもグッチョな物語があるんです
グッチョな人や出来事に遭遇した職員が書いたコラムです
久留米を中心に地域でグッチョな動きをしている人を紹介した号を集めています
「独居だから居場所が必要なんじゃない。家族と住んでいても―」。高齢者が集い、農作物の出荷のための仕分けなどを行う「姫の会」。発起人で顧問の髙山憲行さんが思う居場所とは。取材に行くと、そこには多くの人の笑いがあふれていました。 安心して話せる関係性を 田主丸町柴刈。筑後川の土手から下った場所にあるプレハブ小屋が「姫の会」の作業場です。会員は9人でほとんどが高齢者。週5日、6~8人のメンバーが集まります。近所の農家で取れたネギを出荷用に束ねたり、モリンガという植物の葉を摘み
「人生会議」という言葉を聞いたことはありますか。この取り組みを知ってもらうため、保健所健康推進課がポスターを発行。私も制作に携わりました。人生会議とは何か。なぜ知ってほしいのか。写真やロゴ、コピーの背景となったエピソードなどを通して、関係者の思いを伝えます。 人生会議(アドバンス・ケア・プランニング)とは、人生の終末期、「死」に直面する時、どこでどう暮らしたいか、どんな治療を望むかなどを大切な人と話し合おうというものです。病気や事故など、終末期の迎え方はさまざま。その時に会
ある日、SNSを見ているとコンビニエンスストアに置かれたカプセルトイの写真が流れてきました。「山本町バッジ」と書かれ、パッケージには同町の名所「浅井の一本桜」の写真。「売り上げは子ども会に寄付」と書かれているものの、誰がどういう経緯で販売しているのか分からない。ここはグッチョの出番と、取材に向かいました。 山本の良さを知ってほしい 「山本校区の山本自治区に住んでいる山本です。出身は宮ノ陣ですが」。仕掛け人は、鉄板のネタを持つ山本裕幸さんです。カプセル自販機でオリジナル缶バ
犬塚校区の「たんぽぽの会」は、ハンドベルの演奏を校区内外のいろんな場で披露しています。元・民生委員児童委員で結成された団体です。活動を見に行くと、手作りの衣装とベレー帽のメンバーがそこにいました― 子育てサロンで演奏を披露 6月12日、この日は三潴校区コミュニティセンターでのリハーサル中でした。ハンドベルを披露する相手は子育てサロン「きしゃポッポ」の子どもたちと保護者です。 音符ではなくドレミで記載された譜面は、キーボード担当の永田香代子さんの手作りです。「あれ?」「
筆者が市内の大学で共同講義を担当した際、ひとりの学生の受講後レポートに驚きました。地域福祉への的確な視点に加え、自分がやりたい地域活動の構想を具体的に書いていました。数カ月後、思わぬ形でその学生と再会することに― ちくご川コミュニティ財団(※)の公式SNSに、団体初のインターン生が誕生したという投稿がありました。「久留米大学の1年生」、「小国町で何かしたい」、「北里美弥」。既視感を覚えた私は、前述のレポートを探し出すと、名前も内容も一致。本人の投稿でその後を追うと、レポー
久留米市役所のすぐそば、100年以上続く小売店や卸問屋が並ぶ「あきない通り」に「日々+カフェ」はあります。知的障害のある人の働く場として、そして「あらゆる人の自然な接点に」という思いで、令和5年11月に誕生しました。 「店内もだけど、黄色と緑のエプロンもおしゃれでしょ。会員の手作りなんです」。「久留米市手をつなぐ育成会」代表の藤野薫さんは笑顔を見せます。同会は、障害のある子と親が地域で安心して暮らすために活動しています。集いの場を市内3カ所で運営し、それぞれ利用できる対象者
私は市社会福祉協議会で働いています。さまざまな生きづらさを抱える人と出会います。その中に、30年近く仕事に就けず、ほとんどの時間を自宅で過ごしていた男性がいました。彼は今、就職して忙しい日々を送っています。男性に起こった変化とそのきっかけは。 令和6年1月、仕事が終わったばかりの西川光一さん(仮名)を誘い、「ぷらっと.荘島」に食事に行きました。カフェのあるコミュニティスペースで、私たちにとって思い出の場所。久しぶりの再会で、近況報告で盛り上がりつつ、自宅で過ごした30年のこ
久留米市では、各小学校区で防犯活動として青い回転灯のパトカーが走っています。通称「青パト」。金丸校区で、青パトから始まった支え合い活動があります。人との接点から新しい気づきが生まれ、関わる人の意識に変化も生まれました。 青パト見て「使えたらいいな」「青パトを活用してフードドライブをできませんか」。金丸校区で暮らす樽美岸惠さんの提案をきっかけに、フードドライブ活動「ワンダフルデイ金丸」は始まりました。困っている人に食料や生活用品を配ります。 きっかけは、樽美さんがコロナ禍の時
水天宮の門前、久留米市瀬下町で美容室と惣菜店が並んで営業しています。ここで行われているのは「廻」という一風変わった取り組み。お金を介さない取引で生まれる感覚とは― カット代を農作物でもらい、惣菜の材料にして販売する。始めたのは美容室「余韻」を経営するノダタツヤさんと、惣菜店「咀嚼(そしゃく)」のマナミさん、ノブコさんの家族です。「廻(かい)」と名付けました。 身の周りの暮らしを知りたい カット代は4950円。廻を利用したい人は代金に見合う量の野菜や果物を持参します。
配食サービスを行う「宅配クック123(ワン・ツゥ・スリー)」は弁当に添える献立表に約460文字の「手紙」を書いています。内容は時事問題や季節の話題から、芸能ネタ、スポーツ、地域の風習や伝統行事とさまざま。正月を除き13年間ほぼ毎日掲載し、北原辰水さんはそのほとんどを執筆しています。「高齢の利用者さんは弁当の受け渡ししか接点が無い人も多いので」。 利用者からのお礼がきっかけ 毎朝6時、北原さんは手紙を書くために、一人パソコンに向かいます。調子が良ければ15分、筆が乗らない時
今回のテーマに向き合うきっかけは、昔に取材した人からの電話でした。「昨日の夜ね、隣の居酒屋で働いている外国人が外で何か叫んでいたの。夜中だし突然で怖かったけど、よく考えると、この人は誰にも言えないつらい気持ちを抱えて、こらえきれなくなったんじゃないかな。私は外国から来た人が、どんな気持ちで暮らしているのか、結局何も知らないなって気付いたの」― 「外国人が抱える課題と言うけど、課題は私たちの中にあるのかもしれない―」。 ・・・・・ 久留米シティプラザは良質な文化芸術を届ける
久留米で30年以上、ホームレスの暮らしを支える活動団体があります。「伴走支援はどちらかが死ぬまで」と覚悟を語るのは「久留米越冬活動の会」代表の畠中茂生さん。人が人を支えることとは― 毎月第4火曜日、小頭町公園で「越冬炊き出し」があります。同会が「越冬」目的で始まったものが通年開催に。 毎回30~50人ほどが食料や衣類、その他の生活物資を求めて集まります。火曜ごとのパトロールでチラシを配って路上生活者などに情報を届けます。「ここ数年は顔ぶれが変わりましたね。昔はいわゆるホーム
木下(きした)修一さん(72)と大倉将太さん(21)は年の差50歳の同級生。令和5年3月1日、県立明善高の定時制課程を卒業しました。1年生の頃は「時々、お互いに声をかけることがある程度」という2人。その後徐々に会話が増え、距離が縮まっていきます― 私はおじいちゃんみたいなもん木下さんは、中学卒業後、家業を継ぐため修行に出ます。その後、父親の事業を継承し、27歳で刃物加工会社を創業。「でも、心に刺さった小さなとげのように、高校進学の気持ちがずっと残っていました」。事業が安定し
地域福祉、地域共生社会、支え合い。これまで「し合う」という感覚をいろんな言葉で表現してきました。そういう感覚はいつから?と、歴史をさかのぼってみようと思いつきました。専門家に聞くと、筑後地域の成り立ちと切っては切れないことのようで― 資源に乏しい島国だから「支え合いやシェアの文化をさかのぼると、アフリカで誕生した人類が、猛獣から身を守るため集団をつくり始めた頃に至ります。集団が存続するために本能的に大きく二つの戦略が発生したそうです。一つは他の集団から奪うこと。もう一つは、
働きたくても働けていない人は全国で1500万人。8人に1人の割合です。働きづらさを抱える人に伴走し、仕事を通じて「地域での暮らしを変える」ことを、企業と共に目指す取り組みが進んでいます。単に労働分野の話ではなく、これからの地域の在り方の話と捉えると― 「Work Magic ダイバーシティ育成型就労プロジェクト」は、特定非営利活動法人「わたしと僕の夢」が取り組む事業です。働きづらさを感じている人をサポートしつつ、企業にもアプローチ。その人に合わせた雇い方や仕事の切り出し方な
令和4年10月、住宅型有料老人ホーム「こがケアアベニュー宮ノ陣」を中心に、ハロウィーンイベントが行われました。 「ハローウィンウィンプロジェクト」と題し、市内4団体の子どもたちへお菓子をプレゼント。入居者の寄付で購入し、古賀国際看護学院の学生が配達しました。子どもたちの様子を動画で撮影。高齢者の元へ届けると、大喜びの姿に入所の皆さんも思わず笑顔。同ホームの末次輝さんは「みんなが笑顔になる方法を企画しました」と言います。 高齢者が底力発揮集まった48,760円で購入したお菓子